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トヨタの段取り

 

トヨタの段取り

トヨタの段取り

 

「頑張っている」のに結果がでないなら、仕事のやり方=「段取り」を見直す必要があります。 

トヨタOBがトレーナーとなり、トヨタ時代の豊富な経験をOJTという形で企業を支援していく会社(株)OJTソリューションズが発行するいわゆるトヨタ本の最新刊。私は他のトヨタ本を何冊か持っているのですが、どれもハズレはなかったので今回も書店でみつけて迷わず手に取りました。

 

”仕事のやり方=「段取り」”ということなのですが、一般的な段取りと「トヨタの段取り」は何が違うのでしょうか?

 

一般的な段取りと「トヨタの段取り」

まず、一般的な段取りとは、

・ムダをなくす
・スピードを上げる
・計画通りに進める

では、トヨタの段取りは

・ムダをなくす+仕事の付加価値を高める
・スピードを上げる+ベストタイミングで仕事を終わらせる
・計画通りに進める+問題点を見つけ、仕事の質を高める 

目的が重要

まず「段取り」に重要なのことは、目的が重要だということです。

 まず基本となるのは、「why」(なぜやるか=目的)の確認です。
そして、その目的に沿って「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、どうやるか(How)」といった「なぜ」以外の5W1Hを押さえることです。 

目的を確認していないと、求められているもの以上のものを作ってしまったり、または求められていたものに到達していないものを作ってしまうような仕事のムダ・モレが発生してしまうということですね。

ムダをなくす+仕事の付加価値を高める

業務に費やす時間は「主作業」「付随作業」「ムダ・例外作業」の3つに分類することができます。
本書の中でも”段取りはムダ取りと言っても過言でない”と言っているように、付加価値をまったく生まない「ムダ・例外作業」をなくし、「主作業」の時間を増やすことが
付加価値を高めることになります。

 

本書では7つのムダがあるとしています。

①手待ちのムダ
作業者が次の作業に進もうとしても進めず、一時的に何もすることができない状態。前行程のデータのまとめが遅れて、企画書作成に着手できない。
②加工のムダ
生産(工程の進み)や品質(加工の精度)には、なんら貢献しない不必要な加工のこと。社内の関係者限定の資料なのに、アニメーションや装飾に凝った資料など。
③在庫のムダ
必要以上の完成品、部品、材料など。
オフィスでは、文具、書類、データなど、また「やるべき仕事」を抱え込んでしまうこと
④動作のムダ
付加価値を生まない動き。部品をとるためにしゃがむ、資料をとるために手を伸ばす動作など。
⑤運搬のムダ
付加価値を生まない歩行、モノの運搬、情報の流れ。席をコピー機の間を何度も往復する、必要ないのに何度も上司に情報確認することなど。
⑥つくりすぎのムダ
必要な量以上に多くつくったり、必要なタイミングよりも早くつくったりすること
⑦不良・手直しのムダ
廃棄せざるをおえないものや、やり直しや修正が必要な仕事をしてしまうこと

それぞれのムダ取りの詳細は「2章「7つのムダ」を取り除くことから始める」を読んでいただきたいのですが、「やるべき仕事」を抱えてこんでしまうことも「在庫のムダ」としているところはおもしろいなと思います。

スピードを上げる+ベストタイミングで仕事を終わらせる

仕事を早く終わらせることはいいことだと思いますが、本書では必ずしもいいとはしていません。

 段取り上手な人は、「仕事に着手するのが早い」というイメージがあるかもしれません。しかし、それでは納期を守ることはできますが、最新の情報を取り込んで品質を上げることはできません。本当に成果を出す人は、デッドラインが決まったら、「いかに締め切りに近いタイミングで着手するか」と考えて段取りを組みます。 

早く仕事を終わらせることだとしても、”作業のスピードを上げること”と、”早く着手すること”は違うということになるのでしょうか。スピードを上げることは重要なことだが、必要以上に早く着手することは、結果として質を低下させてしまう。
たしかに、変化の激しいこの時代、朝頼まれた仕事が夕方には必要なくなるなんてこともありますから、すぐに着手しないこともムダを省くことにつながるのかもしれません。
それでも実際は、早く着手して終わらせたいと思うのが人だと思うのですが、”あえて着手しない”を心がけることも重要ということですね。

計画通りに進める+問題点を見つけ、仕事の質を高める

仕事を進めるにあたり、スケジュールや計画書を作成することはよくやることだと思います。本書では、計画書を作成したら進捗状況を共有することが重要だと述べています。
進捗状況を共有することにより遅れをみんなが共有することができ、遅れている原因(問題点)をみつけることができるようになるとしています。

そして、計画を立てる際には問題点もセットで考えておくことが計画通りに進めるうえで重要としています。

 計画を立てる際に、「人が足りない」「他の仕事が忙しい」など計画を進めるうえでの問題点を明確にしておけば、スケジュールが遅れる原因に気づくことができ、その解決策も考えられるようになります。
「なんとかなるだろう」という中途半端な気持ちのまま、仕事を始めてしまうのがいちばんいけません。問題点に目をつぶったまま仕事を進めると、必ずそこでつまずき、スケジュールが遅れていくことになります。  

感想

これまでのトヨタ本は、生産現場中心の内容が多かったのですが、本書はオフィスワークについての内容も充実しており、オフィスワーカーの私としても参考になるものが多かったです。私は本を読む際、重要だと思ったところやおもしろいなと思ったところに付箋を貼っていくのですが、本書もたくさんの付箋がつきました。
他のトヨタ本と重複する部分もたくさんありましたので、まだトヨタ本を読んでいない人はまず本書を読んでみるのもいいかもしれません。

 

最後に、他のトヨタ本も紹介しておきます。
どれもおすすめです。

トヨタの片づけ

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トヨタの問題解決

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トヨタの育て方

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