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「ネジザウルス」の逆襲

 なめたネジでもはずしてしまう新発明

「ネジザウルス」の逆襲 累計250万丁の大ヒット工具は、なぜ売れ続けるのか

「ネジザウルス」の逆襲 累計250万丁の大ヒット工具は、なぜ売れ続けるのか

 

 本書は、年間1万丁も売れれば大ヒットとされている工具業界で、シリーズ累計で200万丁という爆発的ヒットとなっている工具「ネジザウルスシリーズ」の開発秘話や、そのヒットから著者が導き出したヒットの確率を高める理論などについて書かれています。

 

本書の構成は次のようになっています。

 

第1章「一家に一本、ネジザウルス」
 ネジザウルス誕生から、シリーズの4代目「ネジザウルスGT」の開発秘話など

第2章「ヒット商品はMDPD理論から生まれる」
 著者が、シリーズ4代目「ネジザウルスGT」の大ヒット要因を分析し導き出した理論「MDPD理論」について、理論の概要と詳細を同社の製品「鉄腕ハサミGT」を用いて解説。

第3章「私がレンスラー博士です」
 ネジザウルスを生んだ株式会社エンジニアの社長である著者の生立ち、会社を父から受け継いだ経緯や苦労など。

第4章「中小企業は知財戦略で飛躍する」
 MDPD理論の「P:パテンド」について中小企業の知的財産権への取り組みと、重要性など。

第5章「発明ほどおもしろい仕事はない」
 アイデアが生まれやすい状況「三上」など、アイデアのひらめきについてやネジザウルスの最新版「ネジザウルスRX」の紹介など

 

なめたネジでもはずしてしまう新発明

「ネジザウルス」というこの工具、私はまったく知りませんでした。どんな工具かというとネジもはずせるペンチのようなものとでもいうのでしょうか。

 

 

エンジニア ネジザウルスGT PZ-58


ただ、ネジをはずせるというだけならドライバーで十分と思われますが、この「ネジザウルス」の特徴は、何度もドライバーでぐりぐりして溝がなくなってしまったいわいる「なめたネジ」もはずすことができるというところにあります。

「MPDP理論」

著者が、シリーズ4代目「ネジザウルスGT」の大ヒット要因を分析して導き出した理論。

M---マーケティング(Marketing)
P---パテント(Patent)
D---デザイン(Design)
P---プロモーション(Promotion)


MPDPという4つの要素を意識した開発や販売促進活動を行ったとき、その商品やサービスはヒットする確率が高まるという考え方です。

理論の詳細は本書を読んでいただきたいのですが、注目すべきはやはり2番目の「P:パテント」ではないでしょうか。
”パテント”とは聞き慣れない言葉ですが、いわゆる「特許」のことだそうです。
「特許」と聞くと、大企業や一部の発明家か研究者が取得するものというイメージがありますが、中小企業でも”パテンド”が重要だということです。
もし、おろそかにしてしまうとせっかく自社で1から考えたオリジナル商品が

  • 他社の特許を侵害していて賠償問題に発展したり
  • 他社にまねされて模範品が世の中に大量に出回り、自社の利益を食いつぶされてしまったり

といった事態になりかねないということです。

ちなみに、ネジザウルスシリーズについては、著者は次のように語っています。

ネジザウルスシリーズは国内外で31件の知的財産権を取得しています。作業工具の分野で、これほどの数の知的財産権を取得している製品は、おそらくネジザウルス以外にないでしょう。

少数意見は、どこまで採用するべきなのか

本書で私が一番おもしろいと思ったところは、ネジザウルスシリーズの4代目「ネジザウルスGT」を開発するときの話です。
シリーズの初代・2代目・3代目には「ご愛用者カード」というお客さまからの生の声を受け付けるカードが同封されており、4代目の「ネジザウルスGT」の開発にあたり、届いていた「ご愛用者カード」約1000通にかかれたお客様からの意見・提案を分析しました。
多数意見としては「グリップを握りやすくしてほしい」や「先端を細くしてほしい」などの要望があったようです。もちろんそれらの多数意見は「ネジザウルスGT」に反映されたのですが、7通しかきていなかった「トランスネジもはずせるようにしてほしい」という要望にも4代目は対応させたのです。
トランスネジというのは、主にデザイン性を重視する部分などに使われるネジで、ネジの頭の部分が低く、出っ張りが薄く目立ちにくいネジのようです。出っ張りが薄いのでつかみにくく、従来の「ネジザウルス」でははずせなかったのです。
たった1000通の中の7通。わざわざ対応するほどのことも無いように思います。ですが、要望の多かった「グリップを握りやすく」などより、トランスネジをはずせるということが一番お客さまを驚かせ、結果「ネジザウルスGT」のウリにもなったのです。

 

なぜ、少数意見がウケたのか?
著者は次のように述べています。

お客様が望んでいる時点で、それはすでにニーズではないのです。メーカーが実現するのが「当然」の問題点であって、減点対象ではあっても、それを実現したところで加点されることはない。そこに驚きはないわけです。その点、ほとんどのお客様が気づいていないという意味で、少数意見には驚きがあります。潜在しているからこそ、ニーズなのです。

しかし、少数意見が全て潜在的なニーズではなく、その見極めも重要だと著者は語っています。

感想

 ネジザウルスの開発秘話もMPDP理論も、設計から販売まで全てを行わなくてならない中小企業だからこそ役立つ情報だと思います。
また、少数意見の中には潜在的なニーズがあるということは、モノを売ることに限らず日頃の仕事の中でも意識していかなければならないことだと思います。


最後に本書でちょっと意外というか、え!っと思ったエピソードを引用したいと思います。

ネジザウルスGTが受賞した2009年のグッドデザイン章では、あらゆる産業分野からエントリーした2592点中、2次にわたる審査を経て、1034点が受賞しています。

約4割も受賞できるのですね。私は10点くらいしか受賞できないものかと思っていました。こんなに多いと、逆に受賞できなかった物を見てみたいと思ってしまいますね。

 

本書で紹介されている「MPDP理論」によって生み出された「鉄腕ハサミGT」

エンジニア 鉄腕ハサミGT PH-55

 

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