とうすけろぐ

インプットしてきたことをアウトプットしていかなきゃいけないんじゃないの?

ハンコは名前にかけて押さなければならないの?

「いいか、ハンコは名前にかけて押すんだぞ!」(はじめにより)

こんな書き出しではじまる「現場で役立つ! ハンコ・契約書・印紙のトリセツ」を読みました。

現場で役立つ! ハンコ・契約書・印紙のトリセツ

現場で役立つ! ハンコ・契約書・印紙のトリセツ



”ハンコは名前にかけて押す”


私も今の仕事をするようになったばかりのころ、上司に同じことを言われました。

そのときは、”どうしてですか?”と聞いたのですが、”そういうものだ”という回答でした。釈然としなかったので色んな人に聞いてみたのですが、かけて押す派とそんなの関係ない派のどちらもいました。
私は、確たるものはなかったのですが、名前にかけて押したら、名前も印影も確認しづらくなるから、かけて押す必然性がないと判断し、そんなの関係ない派でやってきました。
実際、手形や契約書にハンコを押す際に一度も指摘されたことはなかったので、名前にかけて押す必要はないと分かってはいました。しかし、どこか引っかかるところがありました。それは、本当は名前にかけて押すことが正しくて、かけて押さなくてもNGではないということで指摘されずに済んでいたのかもしれないという思いがあったからです。

しかし、本書を読んで分かりました。

ハンコの使い方や押し方に規則はない

ハンコの押し方に関する法律や規則もありません。(中略)ハンコを名前にかけて押しても、名前から離して押してもかまいません。(P27)


やはり、名前にかけて押す必要はなかったのです。安心しました。




ではなぜ、ハンコを名前にかけて押すということになったのか?

本書に一説が書いてありましたので引用します。

これは余談ですが、「ハンコは名前にかけて押すものだ」という考えのルーツは何なのか。筆者はこの点に興味を覚え、いろいろと調べてみたのですが、確たることは分かりませんでした。
ただ、一説によれば、手形取引にそのルーツがあるのではないか、と言われています。
手形は裏書によって取引されます。法令上、裏書の方法は署名または記名捺印とされていますが、その際、名前の部分や印影の部分が偽造されるのを防ぐために、「名前にかけてハンコを押す」という方法が商習慣として確立されたそうです。
手形取引において商習慣として確立されたハンコの押し方が、やがてその他の一般的な文書におけるハンコの押し方としても広まっていったのではないか。そのうち、そのようなルーツは忘れ去られ、「ハンコは名前にかけて押すものだ」という教えのみが残り、上司や先輩が自分の威厳を保つために厳かに教えることが繰り返され、それが都市伝説のように定着したのではないだろうか。(P28)


“威厳を保つために厳かに教える”


まさに私が経験したことそのものです。世の中に同じようなことがたくさん起きているのかもしれないですね。

さいごに

本書には、タイトルにあるとおり、ハンコ・契約書・印紙(印紙税)について書いてあります。事務仕事をしている人ならわかると思うのですが、何となくこれでいいんでしょと思いながらやっていることがたくさんあると思います。本書ではそのような何となくに答えてくれる内容になっています。
本当に自分はよく分からずにやっていたなと気づかせてくれる一冊です。

あまり同じような本はみたことがないので、事務や営業に関わる人にはおすすめの本です。

現場で役立つ! ハンコ・契約書・印紙のトリセツ

現場で役立つ! ハンコ・契約書・印紙のトリセツ