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インプットしてきたことをアウトプットしていかなきゃいけないんじゃないの?

会計天国

貸借対照表を使ってやるべきことは2つだけ

 

会計天国 (PHP文庫)

会計天国 (PHP文庫)

 

 

本書は、会計のノウハウを“小説形式”で解説した実用書です。
会計について書かれた小説はあまりないと思います。

 

ストーリーの説明

経営コンサルタントの北条(主人公)が、1ヶ月後に結婚する娘のウェディングドレスの試着につき合うため、愛車のポルシェで首都高速を走っていたところ、事故をおこして致命傷を負ってしまう。
北条が目覚めると、天使を名乗る若い男が前に立っており、「あなたは今、幽体離脱をした状態で、しばらく脳死状態が続いて1週間後に亡くなる」と告げられる。
そして天使は、死んだ人の満足度を上げるキャンペーンと称して、混乱している北条に三角クジを引かせる。
北条が引いたクジの景品は、『現世への復活チャンス券』。現世への復活チャンス券とは、課題をクリアすれば現世へ復活、できなければ地獄行きというもの。
そして課題とは、人生を踏み外しそうな5人のところへ行き、会計に関するアドバイスをして、その5人を幸せにすること。
北条は娘の結婚式に出席するため、5人に会計のアドバイスをして、幸せへと導いていくのだが、最後の一人で北条は思わぬ行動に出る。

北条は無事に現世へ復活して娘の結婚式に出席できるのだろうか。

各章の説明

本書は、各章ごとに1人ずつ会計のアドバイスをして幸せへと導いていくストーリーになっているのですが、第1章から3章の各ストーリーでは、財務3表のそれぞれに焦点を絞って解説しています。第4章のストーリーでは、部門・部署毎の損益計算書の読み方と重要性を、そして最後の第5章では、多角化経営のリスクと会社の戦略について書かれています。

貸借対照表を使ってやるべきことは2つだけ

財務3表(貸借対照表/損益計算書/キャッシュ・フロー計算書)のうち、会社の現在の財務状況を表すのが『貸借対照表』。
本書ではこの貸借対照表を使ってやるべきことは2つだけとしています。

流動資産流動負債を比べる
②純資産と負債・純資産合計を比べる
(中略)
「①は会社の短期的な財務状態が健全なのか、②は会社の長期的な財務状態が健全なのかを、チェックするものなの」(P71ー72)

 

①について

流動資産』より『流動負債』が多くなっている場合は、短期的に資金繰りに困ることになります。

 

 

どうしてかというと

 

流動資産』=1年以内に現金化できる資産のこと(現金・預金・売掛金なんかが該当)
流動負債』=1年以内に支払わなければならない負債のこと(買掛金・未払金なんかが該当)

 

1年以内に入ってくるお金より、1年以内に出て行くお金が多いということは、支払いが出来なくなり、どこかから借りてくるか、倒産するしかないということになるわけですね。

 

②について

自己資本比率=純資産の金額÷負債・純資産の合計金額』を計算するのよ。(P95)

自己資本比率は、本書では50%が理想で、30%は確保できているとよいとしています。

 

自己資本の比率が高いということは、反対に負債(買掛金や借入金など)が少ないということになるので、もしもの時に純資産で補えるので倒産する可能性が少ないということになるわけですね。

 

実は私はこれまで仕事で財務諸表を毎月作成してきました。
しかし、売上・費用・損益を気にしていたので損益計算書を重視して、貸借対照表のことはあまり意識していませんでした。会社の組織上、財務状態まで意識する必要がなかったこともあるのですが、今後は会社の財務状態も把握しなければと感じました。

 

感想

本書は明日会社に行ったら自分の会社の財務諸表を確認してみたくなる会計ノウハウがたくさんつまっている本だと思います。
また、会計の基本を解説した本はたくさんありますが、本書のように小説として書かれたものは少ないのではないかと思います。かつ読み物としてもおもしろいです。
財務諸表を毎月作ってはいるけど、何がわかるの?という人や、売上と損益だけ重視していれば会社は大丈夫だと考えている経営者や管理職の方は、ぜひ読んでみてください。

 

本書の続編が出ているようなので、今度読んでみようと思っています。

 

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会計の基本を勉強したい人はこちらも読んでみてください。

 

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