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インプットしてきたことをアウトプットしていかなきゃいけないんじゃないの?

決定版 インダストリー4.0 第4次産業革命の全貌

みなさんは、「インダストリー4.0」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
私は書店でこの本を目にしてはじめて知りました。

決定版 インダストリー4.0―第4次産業革命の全貌

決定版 インダストリー4.0―第4次産業革命の全貌

 

 

インダストリー4.0とは

では、インダストリー4.0とはいったい何なのでしょうか?

インダストリー4.0とは、”第4の産業革命”のこと。ネットワークで情報をつなげ、コンピュータ、人工知能を活用して、生産や流通などの自動化を最適なレベルまで引き上げるという試みです。(P14)

 

産業革命と聞くと、学校で習ったのは、”イギリスで起きた革命で、これまで手作業だった製造業に機械が持ち込まれて飛躍的に生産効率がアップした”みたいなものだった気がします。
しかし、第何次という分け方がされていた覚えはないと思います。

 

 

本書では次のように分けています。

第1次産業革命:水力・蒸気機関を活用した機械製造設備の導入(イギリスでの織機の発明)

第2次産業革命:●大量生産のはじまり●分業化された労働および電力の利用

第3次産業革命:エレクトロ二クス・IT技術の活用による自動生産の促進(PLC、産業用ロボット)
(P23)

 

そして、今、第4次産業革命が起きよう(起こそう)としているということなのですね。
この「インダストリー4.0」は、ドイツの政府、企業、大学や研究所が合同で始めた取り組みで、ものづくりのスマート化、デジタル化を目指しているようです。

 インターネットにつながった工場

ドイツはインダストリー4.0プロジェクトで「スマート工場」を作ると言っています。はたしてそれは、どんな工場なのでしょうか?一言でいってみるならば、それは「インターネットにつながった工場」です。
(P24)

インターネットにつながった工場?

どういうことかというと、現実の工場から生産機器に取り付けられたセンサーなどでデータを吸い上げ、IT上(コンピュータ上)で人工知能を活用して製造をシミュレーションし一番効率的な生産を計算し、その結果を現実の工場へフィードバックする。人間はこれを監視するだけで、すべては自動で行わる。そんな工場のようです。

これが実現することにより、無駄のない製造が行えるようになるため、少量生産でもコストを抑えて製造できるようになると考えられているようです。

ビジネスモデルがこう変わる

 

著者は、インダストリー4.0が実現したら、ビジネスモデルは変化し、そのポイントとなる重要な2つが”オーダーメイド”と”アフターサービス”であると述べています。

オーダーメイドがあたりまえ

 

インダストリー4.0時代のものづくりの世界では、多品種少量生産、究極的にはそれぞれの消費者の好みにあったオーダーメイドビジネスが主流になっていくと考えられています。消費者の満足度が高まることはもちろんですが、メーカー側も、大量生産と大差ないコストでの生産ができるようになるため、競争力が高まると予想されています。(P33)

インターネットにつながった工場(=スマート工場)では、部品の調達から生産・出荷まで自動処理されるようになるため、消費者は自分の好みの色や形を指定し、インターネット経由で注文することにより、あとはスマート工場で自動的に必要な部品を調達し、適切な製法を選び、自動的に生産を進めていくということになるようです。

アフターサービスで付加価値を高める

製造業は、製品を売ったら終わりの従来のビジネスモデルから、センサーやビッグデータ分析を駆使したアフターサービスで付加価値を高める新しいビジネスモデルにシフトしていくと考えられています。(P35)

本書では、GEの航空機エンジンを例にあげていました。
GEは航空機のエンジンにセンサーを組み込み、そのセンサーから送られてくる膨大な稼働状況のデータを分析し、故障の予兆を発見して航空会社に連絡したり、燃料費改善の提案をしたりするアフターサービスをすでに行っているとのことです。
たしかに身近なところだと、オフィスの複合機は、インク残量やエラー情報なんかを吸い上げて、事前にインクトナーを送ってきたり、故障が発生していないか監視したりするサービスがすでに一般的に行われていますね。

ロボットに雇用を奪われる?

すべて自動で行われるなんて言われてしまうと、人間は何をするの?と疑問をいだいたり、働く場所がなくなってしまうのか?と不安に思ったりしてしまうのではないでしょうか。

本書では次のように述べています。

「人間の仕事は、なくならない。より創造的な仕事に従事するようになる。求められる仕事も変化していく。社会が新しい仕事をつくっていく必要がある。社内教育や、学校教育を時代の流れに合わせて変えていく必要ある。」(P86)

著者がもっとも有望な新しい仕事として挙げているのは、「データサイエンティスト」という仕事です。
センサーなどで吸い上げた膨大なデータを分析する仕事のようです。データ分析は、ある程度は人工知能により分析することができるが、人間の判断が大事な要素であることは今と変わらないとしています。

感想

本書の中ではドイツが進めている「スマート工場」は15年から20年後には実現する可能性が高いと書かれています。そのような世界が本当に訪れるのか疑問に思うところもあります。しかし、これまで人間でなければできなかったことが、どんどんロボットや機械に取って変わられてきていることも事実。私たち人間は、今まで以上にアタマを使う仕事へとシフトしていかなければならないのかと個人的には感じています。

また、古い工場こそ、このインダストリー4.0の波にのるチャンスなのではないかと思います。これまでガラケーだとバカにされていた人が、最新のスマホに買い替えて周りを追い越してしまうようなもので、今は古い建屋・設備で厳しい価格競争を強いられているような工場でも、どうせやるなら中途半端な投資を少しずつするのではなく、一気に最先端の技術を取り込んだ「スマート工場」を目指すというのも一つの手なのではないかと思います。(お金があればですが)

 

最後に最近読んだ人工知能の本をご紹介。

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

 

 

人工知能が心を持って人間では制御できなくなってしまうのではないか?

そんな不安をもったことがあるのではないでしょうか。

この本には、人工知能が今現在どのレベルまで進んでいるのか、そしてどこまでできるようになるかが書いてあります。

人工知能に興味のあるかたはぜひ読んでみてください。